【女性憎悪主義者 インセルが考えるセックスの一極化社会】非モテもインセルもナンパ師もセクハラ野郎も普通メンズも男女の距離感が分からない

海外
女性を憎悪する「インセル」とは? モテない男性の心の闇をネットが加速させる。
アメリカなどで殺人事件に発展したケースも…

“非モテ”

日本でもインターネット界隈にそんな言葉があります。言葉そのままで、要は異性にモテない人の事を指す言葉です。 アイドルみたいな容姿で飯を食ってる人達が、 “実は私って非モテなんですよ〜みたいな使われ方をされるので、そこまで深刻な意味はないのかもしれません。 ”自分が期待しているよりもさほど異性にチヤホヤされんなぁ” 程度のボヤキにも聞こえます。

しかしこの記事で取り上げる、インセルは少し違います。

Incel (n): involuntary celibate: a person, a man who identifies as being frustrated by a lack of opportunities to have sex.

インセル: 不本意の禁欲主義者の略, セックスの機会を持てずにフラストレーションを抱えている男性または人を指す。

identify 確認する 見分ける

frustrate  イライラする

lack  欠如 欠けていること

インセルに明確な定義やグループ意識はありませんが、殺人事件を行い何人もの命を奪っている存在で、非モテが持つある意味で自嘲的な軽さとは異なるものです。

僕達には行き場所がない

不本意の禁欲主義者――「インセル」たちの知られざる世界
「インセル」のネット掲示板に書き込みをしている若い男性たちはどんな人たちなのか。

このジャックという男性は、元インセルとして、インターネットのコミュニティーで活動していた男性でした。彼が感じている ”女性とうまく付き合えず、セックスが出来ないというフラストレーション”を受け止める場所がインセルでした。

ここではそんなジャックさんの動画インタビューを見てみます。

Former member of 'Incel' community speaks out about dangerous misogyny I Nightline

Jack (former Incel): I think what it attracts men to Incel community is just feeling that there is no place to go. If we are rejected by women, if we are rejected by even men, Incel community is the place for them to congregate actually. To find the people to talk for once, rather than just staying in isolation.

ジャック(元インセル): 何故、インセルがある特定の男性を惹きつけるのかを考えると、僕らには行き場所がないと感じているからだと思う。女性に拒絶されたり、男性にさえ拒絶されたりすると、インセルのコミュニティーは僕らにとって集まってもいい心地良い場所になる。一度でもいいから話すための相手を見つけるためにさ。孤立したままよりもマシだろうと考える。

~It was the world he could post this video freely.~

~インセルはジャックがこのような動画を自由に投稿できる世界でした。~

attract 惹きつける

are rejected 拒絶される

congregate 集まる

A rather than B BというよりA(がよい)

Jack (former Incel): No matter what I do, no matter where I go, nobody cares my contribution, nobody respects me.

ジャック(元インセル): 僕が何をしようと、どこに行こうと、誰も僕の事なんか構ってくれないし、誰も尊敬してくれない。

~Peterson eventually became a moderator for one of Incel forums. He said violent taking threads would not tolerate.~

ジャックは次第にあるインセルの掲示板のまとめ役になっていきました。彼は暴力的な投稿のある掲示板は節度を保てないと言います。

Jack (former Incel): Someone crosses the line to threading what it seems to be real violence. We are banned from the website. I know the communication with the FBI to make sure that nothing is actually to cross the line into reality. Not, just stay and post image.

ジャック: 本当の暴力に繋がるような投稿をして、誰かがある一線を超えたりします。すると私達はサイトから出入り禁止になります。そしてFBIから調べられる事になりますが、実際に行動に移したりはしない、ただ掲示板に投稿しただけだ、と言って普通は終わりです。

contribution 貢献

tolerate 我慢する

threading  掲示板でのまとめ・やり取り

ban  禁止する

cross the line  一線を超える

インセルのコミュニティーでは、自分の感じるフラストレーションを正当化するために女性が愚かで強欲で計算高い者として極端化されていきます。そうする事でインセル達が思う存分に自分の非は認めずに、女性を攻撃できるからです。

しかし、トロントで起きたあるインセルによる無差別殺人事件をきっかけに、ジャックさんはインセルから足を洗う事を決意します。

インターネット内で愚痴を吐き出しているならまだしも、現実の暴力に変えてしまうなんて、”こんなの尋常じゃない。”とジャックさんは目が覚めたそうです。

話しは少し逸れますが、インセルのように女性を怒りや攻撃の対象にする別のグループとして、ナンパ師(英語ではpickup artist)という存在がいるとされています。ナンパというと、チャラい風貌で次々と女性に近寄り、口説き、身体の関係を持つという、ある意味でインセルとは反対の立場にいるように感じますが、ナンパ師の根元にある心理はインセルと同じで、女性に対する怒りや不満が彼らを誰かれ構わずにナンパする事で、女性をモノとして扱い、自分の男性優位としての自信を得ていくのだそうです。

感情が内に向かえばインセルに、衝動が外に向かえばナンパ師にと言ったところでしょうか。

ステイシーとチャドが牛耳るセクシャル資本主義

インセルのコミュニティーには、ある有名な存在がいます。それは、チャドとステイシーです。

ステイシーというのは、イケイケ系の女性の事で、歩くだけで男性からの熱い視線を集めるタイプの女性の事です。

チャドというのは、インセルとは対極にあるいわば肉食系男子のような存在の男性。簡単に言えば、沢山の女性と不自由なく寝る事ができる男性です。

これら全てはインセルの男性達が生み出したイメージであり、彼らの頭の中はこのように単純化された、いわばセクシャル資本主義と言える世界で盛り上がります。

セクシャル資本主義とは、つまり一部のチャドがほぼ全ての女性を独占し、ステイシーに相手にされない多くの男性は残りのベッキー(地味な女性)を競って争うという世界です。そしてこの世界では、インセル達は誰にも相手にされないのです。

こう見ると、自分も上の図のチャドっぽくはないので(上のような金髪モヒカンで黄色いブーツを履くような男に見られたくもないですが)、左にいるうつむきがちの眼鏡野郎ですし、女性もステイシーよりベッキーの方が友達になれそうですが、どうなんでしょうか。ベッキーや眼鏡君の方がマジョリティーですし、親しみやすいように思えます。

They’re also preoccupied with the idea of a sexual economy: According to the Red Pill subreddit(a term that comes from The Matrix but among men’s rights activists refers to the realization that society is actually sexist against men), some believe that 20 percent of men are having 80 percent of all sex, which means “for every ten girls who are getting laid this week, eight of them are fucking just two guys.”

インセル達はセクシャル経済の考えで頭がいっぱいになっている。赤いピル掲示板(映画マトリックスに出てくるシーンが元ネタだが、社会は男性に対して差別的であるという男性権利主義者の主張)によると、彼らの何割かは男性全体の20%だけが、全体のセックスの8割を行なっていると信じている。つまり10人の女性が今週誰かと寝たとしたら、10人中8人の女性に対して、たった2人の同じ男性が相手した事になる。

They also say that the bottom 80 percent of men are “left to fight for the bottom 20% of females. This works out for about 70% of the males, leaving just 10% of the males to struggle for the bottom 10% of females, who only want access to the top 20% of males.”

またインセル達は”下位80%の男性は、残りの下位20%の女性を競って争っている”と言う。男性の約7割が、男性上位20%だけにアクセスしたい残りの女性10%を求めるので、結果的に10%の男もあぶれる事になる。(複雑過ぎて分かりませんが、要は男は下位の女性と付き合うしかないと言う事を言いたいのだと思います。)

参照:Vox

Incels Categorize Women by Personal Style and Attractiveness
There are "Stacys" and there are "Beckys."

preoccupy  没頭する 夢中にさせる

according to~ ~によると

refer to  参照する

bottom 20% 下位20%

セクシャル資本主義、やけに具体的なイメージではありますが、確かに強ち全てが間違えている考え方とは言えないと思います。

この世の全ての人が対等に、相手に対して誰との比較や検討もなしに付き合う相手を決めているはずだし、世の中はそうあるべき!” かと言えば、そうでもありません。

インセルが思い描くように、恋愛強者という存在はいますし、その陰で割を食っている大勢の人間もいるに違いありません。

しかし、その考えをあまりに極端化して考えることに歪みが出てきます。全ての女性がステイシーかベッキーに分けられ、自分達は必ず無視されてしまう存在と決めつければ、世界は灰色になるでしょう。

反対に、全ての人が対等に恋愛し合えるはずだ!という考えを極端化しても、自分よがりなストーカーや、肩書きくらいしかない親父が若い女性に何の呵責もなくセクハラをするでしょう。

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女性に対して根拠なき自信があり過ぎるのも、被害妄想的に無さすぎるのと同じくらい問題なのかもしれません。

極端化というのはどこに行っても、世界が歪で見えてしまう気がします。

非モテほど外見至上主義になっていく悪循環

人気ウェブ漫画「外見至上主義」が韓国で非難を集めている意外な理由とは
韓国で大人気を得て、最近、日本でも連載しているウェブ漫画の「外見至上主義」 この作品、実は韓国ではめちゃくちゃ叩かれています。 「外見至上主義」が韓国で非難されている理由について調べてみました。   ◆ウェブ漫

インセルのコミュニティーでもう一つ特徴的な考え方が、looks maxing 外見至上主義です。つまり、自分達がセックスが出来ないのは、この顔のせいなので、容姿がどのように見えるかに最大限、関心を持つべきという考えです。

A Scary Look Inside The Incel Community

Caster: Every few months there is like a blockbuster article about incells. What is incell community? It is involuntary celibate, it is a group of people who say that they can`t have sex with anyone but it is not their fault, it is due to the society and women we will get into it.

司会者: ここ数ヶ月、インセルについての絨毯爆撃のような記事が続いてます。 インセルとはいったい何でしょうか。 “不本意の禁欲主義者”、自分は誰ともセックスできない、しかもそれは自分のせいではなく、社会や女性の責任だと考えているグループの総称です。

One of the aspects of it, this article from Huffington Post that I think contributed to the fact that the website in question, not having a post but one of the references crashed while I was researching this is because it is so fascinating,

インセルの特徴の1つに、これはハフィントンポストの記事ですが、ある事実について述べている思います。あまりにもこれは興味深いので、リサーチしている間に、参照文献が無くなってしまったのですが、

it is called looks maxing. Looks maxing is what incells apparently do, it is a forum, it is a lot of places where people get together and talk and obsesees over how people look.

それは”外見至上主義”と呼ばれるものです。外見至上主義は、インセル達が明らかに実践しているもので、掲示板があり、人々が集まり話し合う多くの場所があり、彼らは自分や他人の容姿がどのように見えるかに取り憑かれています。

fault  失敗 過失

due to ~ ~が結果で ~のせいで

aspect  側面

fascinate  魅了する

apparently  明らかに

obsess 脅迫観念となる

looks maxing 外見至上主義はインセルだけでなく、現代の特徴の1つの気がします。現代は昔以上に、外見という要素がいろいろな面で利害に関係するようになっています。

これまでも、それなりに外見というのは人を測る基準の1つではありましたが、絶対的な基準ではありませんでした。味のある顔、趣のある顔、老け顔だが安心できる顔など、いろいろな評価基準があったように思います。

しかしソーシャルメディアの台頭と共に、自分の容姿の評価を最大限に高めようとする動機が一気に高まり、それを支えるツールも増え、美しすぎる●●、イケメンすぎる✖︎✖︎のような表現もメディアで増え、外見史上主義の時代が到来しているように思います。

インセルが、外見史上主義に走る理由は定かではありませんが、外見という要素に全ての原因を求める事で、心理的負担を和らげることができるからかもしれません。容姿が悪いのは自分の責任ではない、というように。しかし実際に自称インセルの人には、イケメンっぽい人もいるので、自分が自分自身をどう感じているかに寄るのでしょう。

まとめ

非モテ と インセル。 似て非なるこの2つの現代の価値基準。非モテは、半分は自嘲気味に誰も恨む事なく、自分の中で諦めているような存在に対して、インセルはこんな自分になってしまった対女性、対社会に対しての怒りを感じます。

そして非モテやインセルの他にもセクハラ親父やナンパ師、それに普通の男性でも、男女の適切な距離感とは非常に難しいものになって来ている昨今です。

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